――その後。
再び全員集合したラウンジにて、会議は進む。楽先輩は、最初は否定的な事を言っていたものの、どうやら参加してくれるようだった。そして驚く事に、あの不動先輩も「参加する」と手を上げてくれた。
「俺の周りで、なんだか面白い事になってるようだし、一番近くで楽しませてもらうね~。皆がんばってね、青春と恋♡」
不動先輩以外の全員「……」
「え、なに?まさかの、もう修羅場?」
「な、ナニノハナシ、デスカ?」
「ウソつくの下手だね、芽衣ちゃん♡」
「(私のバカっ)」
ニヤニヤする不動先輩から皆が視線を外したところで、さっそく動画づくりが始まった。
「ねぇ歌沢くん、新曲ってどんな曲~?」
「元気が出る曲です!」
「……歌ってる本人が元気ないのに?」
「ひ、ひどいですッ!」
「ふふッ」
一致団結してワイワイしている光景に、思わず笑みが零れる。エレベーターの中で出会った時は、こんな光景を見られるなんて一ミリも思わなかったから、なんだか嬉しいな。
だけど――浮かれた私は、気づいてなかった。
「……」
腕を組んで私を見ていた人物が一人いたなんて。
全く、気付く事ができなかったの――