凌久くんへの気持ちを自覚した夕方のこと。
私は、男子寮と女子寮の共通ラウンジに来ていた。そして、私の他にも……
「いきなり招集ってやめてよ~。今日は動画の編集をしようと思ってたのに」
「お、俺は寝ている所を、無理やり起こされて!」
「……要件は?」
不動先輩、歌沢くん、楽先輩――そうそうたるメンバーが、ラウンジに集合していた。そして私たちを呼んだ張本人は一人だけ経ち、座る全員を見下ろしていた。
「要件はただ一つ。これから、このメンバーで一本の動画を作る」
おおまじめな顔で言い切った凌久くん。そんな彼の言葉に、驚いた顔をしたのが私。そして、不審な顔をしたのが……その他、大勢。
「ごめん、今日ってエイプリルフール?」
「すみません今、すごく疲れてて……幻聴?」
「……イヤだ」
で、ですよねー!というのが本音。だって凌久くん、この四人の相性が良くないのは、エレベーターの中で嫌と言うほど分かってたことじゃん。
それなのに、どうしてこのメンバーで動画?一体、何を考えてるんだろう。