「風邪……引いたかも」

「え!?」


か、風邪を引いたって……!でも、帰りの会の時は、普通だったよね!?


「まさか、ずっと調子悪いの我慢してたの!?」

「うるせぇよ……耳元で大きい声だすな」

「そ、そんな事言ったって、」


その時、私は寮母さんがいつもの部屋にいないのを知る。ドアには「職員室で会議中」となっている。

ということは、寮にはいないって事だよね?


「凌久くん……これから私のする事を、怒らないでね」

「……あ?なんて言った……?」

「お邪魔しますって、そう言ったの」


熱のせいで理解が追いつかず、ハテナマークを浮かべる凌久くん。そんな彼の腕を、私の首にグイと回す。


「捕まっててね!凌久くん!!」

「う、うるせぇ……」


目指すは、凌久くんの部屋。

この病人をベッドに寝かせるために――

私は再び、男子寮に足を踏み入れるのだった。