恋は、唐突だ。 あたしの視線は銀色の髪に吸い寄せられて、窓の外を見る横顔に釘付けになった。 ドクドクと鼓動が速くなって、頬に熱が集まる。 「窓際、一番後ろの席の人!」 「……」 呼びかけると、彼は視線だけこっちに寄越した。 目が合って、確信する。 あたしは、あいつに一目惚れした。 「好きです!」 「……そうか」 驚いたように目を見張った彼は、すぐ無表情に戻ると、それだけ言ってまた窓の外を見た。 ……つれないんだな。 上等だ。 あたしはニッと笑って、彼を振り向かせることを決意した。