「……それ、どうするんですか」

「これ? そうだなぁ……魔法魔術のオークションでそれなりの額になるかもしれない。いやでも、小銭になるかも怪しいし、そもそも売れるかも怪しいかな。つまり、価値的な意味ではよくわからない。マジックレコードの媒体はいろいろあるけど、CDっていう現代ものは珍しいね。あらゆる意味で珍品だけど……需要とか利便性とかそういうのが付随しないとあまり、」

「そうじゃなくて、壊していいですか? ダメですか?」

私が剣の柄を握り直したのを、彼は察したのだろう。

「いいよ。ほら」

と、彼の手が空を動き、円盤が舞った。

一瞬。

触れてもいないのに空中で一斉に動き回った飛翔の剣が、勝手にディスクを切り刻む。砕けたガラスのように、マジックレコードという殺人兵器は、散った。

それを見届けてから、ようやく肩の力が抜ける。

達成感を得るとともに、空虚と静寂が、心の中で震動する。