金具がちぎれ、ねじくれて吹き飛んだドアが、壁に激突して轟音を反響させる。廊下の手すりが、壁がへこみ、ガラスが砕け散った。

その、飛び出して、男を叩きつけた廊下に、

「おっと驚いたぁ!」

人がいた。

緑の常夜灯だけがほのかに照らしているここで、輪郭を闇に溶かしてしまいそうな服装。

綺麗に整った、日本人の特徴だらけなのに外国人のような顔立ち。

彼がいた。

「アナタ!」

「おっとう、よそ見はダメだ!」

彼の腕がにゅっと伸び、私の腕を掴んだ。手を離れてしまった剣が床をがらんと打ち、私の体が引っ張られる。

首のあった空間をその時、男が掌握していた。その掌が、バチバチと黒い光を閃かせている。

なんだろう、あの現象は……。

「っ、ちっ、避けたか……!」

運動は得てではなさそうなくせに、今の体当たりのダメージをものともしていないのか、男はすぐに立ち上がった。口の中を切ったらしく、唾を吐く。