ゆっくりと私はベッドから降りる。裸足に、夜の床は氷のよう。

そうだ。目の前の男を、私は許せない。

その理由は、復讐か、粛正か、断罪か、あるいは凶行か――

数秒考えて、

「運命――そうただ、運命付けられているだけ――だと思う」

彼のセリフを復唱する。

それからの私は、自分でも恐ろしいほどに、あれほど凪いでいたのが『嘘』のように、俊敏だった。

「お前、本当にいったいなんな、」

最後まで言わせる前に飛び出して、剣ごと突進する。

今気付く。

私は少し、怪力も加算されていたらしい。

ドアを容易くぶち壊して、廊下へ飛び出す。

この男を、殺してやるつもりで。