剣先が、男の左肩を串刺す。

「っぎゃ……!?」

悲鳴をあげて、男が飛びすさった。

赤い飛沫が散り、カーテンや床に、斑紋をこびりつかせる。

男は歯軋りしたようだった。どうやら、私のような小娘に刺されたのが悔しいらしい。

「お前っ、なんてことを……俺になんてことをしてんだよ……!?」

が、どんなにその表情が憎悪で染まっていても、私の心は凪いでいる。

突き出した右手に握った剣の感触だけが、激しい訴えをしていた。

目の前の男を、粛正しろ。

コイツは、許されざる者だ。

認められない死を蔓延させる者を、即刻、粛正のもとに。

†を理解すれば、条約が胸に宿っている。

正か否か、判断を下せるはずだ。