彼が私の横に来た。

剣を手に立ち尽くす私、赤く死に化粧を果たした男を見比べ、うなずいた。

「感想は?」

人を殺した少女を相手にして最初に出てくる言葉がそれだなんて、少し驚いた。が、短い付き合いながら、彼らしい、とも思った。

床の赤、壁の赤、ガウンに付着した赤、手にこびりついた赤――拭ってしまおうとは思わなかったそれらを、のんびりと眺める。

「おぞましい――」

「……」

「おぞましいほどに――爽快としてます」

「そう。さすがだね」

なにがさすがなのかわからないが、彼にとって、私がこういう反応を取るのは予測済みだったのか。


少し面白くない。その綺麗なガラス玉のような目に、なにもかも見透かされたようで。

彼が空中に浮かぶ九つ、それから私の手元にある剣を見る。

「まさか十本なんてね。宙を飛翔する十本の剣――君の自己定義には目を見張るよ。人はどれだけ、自分という要素を研鑽できるのかな?」

「私はただ、必要なものを手に入れただけです」

「そうか。頼もしい限りだよ」