「じゃあ、教えてあげよう。君はね、一度死んだ。だけどそれに抗い、運命、あるいは未来を掴み取ったんだよ。ごらん」

そして、指差された。

声が出た時と同じように、さっきまであれほど固まっていた首が、簡単にそちらへ向く。

そこで初めて私は、この部屋が天井の照明以外すべて闇のように暗い、広さのわからない部屋で、彼はその闇で染めたような修道衣を着ていて、私の横たわる寝台は銀色だと知った。

彼の指先を、辿る。差されたのは、私の右手。その右手は、強く強く、握っていた。

黒い柄、黒い鍔、そして黒い諸刃の、剣を。強く強く、握っていた。

「それが君の死であり、生であり、運命でも、過去でも未来でもあるものだよ。よく、掴み取ったね」

そうそれは、肉体が魂を手放したくない一心で無意識の呪縛をかけたように、強く強く。

「ようこそ、境界を超えた教会へ」

剣を握っていた。

「†から生還した君を、僕は心から歓迎するよ」





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