目は開いた。指先、足先、体の感覚はある。今見えているものが、なんなのかもわかる。

それなのに、起き上がることができない。感覚はあるのに、首も指も、一切合切ぴくりとも動かない。

私は、七つの真っ白く眩しい照明に照らされる部屋で、横になっていた。まるで手術室にあるような照明だ。

背中がやけに、寝そべっている床の感触を理解している。ひょっとしたら私は今、裸なのかもしれない。それなのに、羞恥心はどこへ行ったのか、私の心は凪いでいた。

中学生、言わば思春期の少女である私が、なぜこんなにも凪いだ気持ちなのか、理解しがたい。

けれど、言うなれば、心の位置がニュートラル過ぎた。だから、反射的な感情の起伏が起きなかった。

世界も、心も、あまりに、静か。

そしてそれは、意識がブックアウトした時と同じように突然。

「おっと、ン? ン? あ、起きたね」

私の視界に、見知らぬひとの顔が入り込んだ。

逆さまに、私を見下ろしている。顔の近さから考えると……どうやら私は、ある程度高さのある寝台のようなものに横たわっているらしい。

おそらく、人形のように力なく。