「じゃあ、私はこの男とは違うんでしょうか」

「それは――†が違うからね。なにを由とし、なにを良しとするか。

君はこの男を殺すことを良しとした。そして、自分が殺されたことを由とした。自らを由とすることを自由って言うんだ。けど、君は自由でこの男を殺したんじゃない。粛正さ」

「だけど、私は『嘘』を使用しました。粛正という嘘で覆い包んだ殺人です。私はそう、本当はこの男の言った通り、人殺しです」

「つまり?」

「つまり、私も同罪。死ぬべきです」

私は剣を逆手に持った。

「だから私は私を殺すことにします」

そして一気に、腹部へ突き立て、沈める。

躊躇なんて、しなかった。男の背中を串刺しにし、合計十回の磔刑を与えてやったように。自らを断罪した。

血が溢れ出し、熱いものが込み上げて、反吐が出る。

彼は、膝を突き、倒れていく私を、じっと見ていた。

湿っていて気持ちの悪い男の上に、寝そべってしまう。私が殺した憎むべき男の屍に、我が身を。

けれど、あまり気にならなかった。

私は今ようやく、凪いだ心が脈動したのを感じる。脈動を感じる度に、私の命は赤くぬるく溢れていく。