「それでは、この騎士たちに見覚えはありますか?」
「……はい。全員、私が隠密部隊に推薦した者たちです」

 そう言って統括騎士団長は俯いた。それから残念そうに氷漬けの騎士たちを一瞥する。

「ということは、アレスの暗殺は皇帝が企てたということですね」
「ち、違う! 私ではない!! ハイレットだ……ハイレットが勝手にやったのだ!!」
「父上……そんな、私を見捨てるのですか!?」
「うるさい、黙らんか!! お前のような出来損ないなど私の息子ではないのだ! 潔く罪を認めんか!!」

 ここに来ても皇帝は自分の罪を認めなかった。しかも血を分けた息子であるハイレットに、罪をなすりつけようとしている。
 謁見室に集まった者たちが、厳しい視線を向けているのことにも気付いていない。

「私だけに罪をなりつけようと……? ふざけるなっ!! すべて父上の指示ではないですか!!」
「お前、なにを……!」
「セラフィーナの結婚相手もそうだ! 最初はアレスを狙えと言っていたのに、都合がいいからと今度は竜王を狙えと指示していたではないですか!!」
「馬鹿なことを言うな!! 私はそんなことは言っておらんぞ!!」
「へえ、これまた笑えるくらい馬鹿らしい話だねえ」

 そう言って笑顔を浮かべた竜王様の目は、昏く澱んでいた。