ずっと軍隊生活をしていたため、
パーティに来ていくドレスを全然持っていないらしく、
手持ちのドレスで一番お気に入りだというものにクララは着替えた。
クララは謙遜していたが、とてもよく似合っていると思う。
ドレスは無駄な装飾がなくシンプルで身体のラインに沿ったマーメイドドレスだった。
背が高く引き締まった体型のクララは
スタイルの良さを引き立ててくれるこのようなドレスが一番似合う。

しばらくするとマルクスが恋人を引き連れて戻ってきた。
クララの話では大公家の親戚の娘らしいが、
気品あふれるシルバーブロンドの華奢な女性だ。
「クララの良い人って言うのは、ロートシルト少将のことだったのか。ロートシルト少将、初めまして。マルクス・フォン・ファーレンハイトと申します。こちらは私の恋人でダンデリオン大公国のベアトリーチェ・ファルネーゼです。」
「初めまして、ベアトリーチェと申します。」
マルクスとベアトリーチェはひと時も離れていたくないというようにぴったりと寄り添っている。
言葉はなくても、お互いがお互いをとても大切に思っているのが伝わってきた。

「じゃ、もうそろそろ時間だから行こうか。この計画の最後の仕上げだ。」