その後厩舎を出た2人は
手を繋いで庭園を散歩していた。
特に何を話すわけでも無かったが幸福感が2人を包んでいた。

庭園のベンチに腰かけていると、
クララがそろそろ戻らないといけないと言い出す。
パーティーを抜け出すことはマルクスと2人で計画していて、
23時に再び戻ることになっているのだそう。
時計の針は22時30分を過ぎたところだ。
「マルクス様も恋人を連れて戻ることになっているのよ。私だけ遅れるわけにはいかないわ。」
それを聞いて、先ほどのクララの言葉に合点が言った。

「クララは私と最後のダンスを踊ってくれるよね?」
念のためにギュンターが確認すると、もちろんだとクララは即答する。
「それならなおのこと、早く戻らないと。侍女服でギュンター様とダンスを踊るわけにはいかないもの。」
マーサの衣装を着ているため、クララは侍女の姿をしている。
しかもクララは背が高いので、侍女服の丈が短くて手足が出てしまっている。
クララと踊れれば自分は正直何でもよかったが、
自分のために着飾ろうとしてくれるクララの気持ちが嬉しく、
ギュンター達は急いで屋敷に戻ることにした。