(会話の内容から察するに、男の方はマルクスの弟で、女の方はラーデマッハー家のメイドか。入れ替わってどうするんだ?まさか、パーティーを2人に押し付けて部屋でしけこむつもりじゃないだろうな。)
行くべきか行かざるべきかギュンターが思案していると、
当事者の2人も廊下に出てきた。

「なんとか替え玉に成功した。タイムリミットまでに絶対探し出してよ。それじゃ!」
男はそう言うと猛スピードで階段を降りて行った。
一方のクララは廊下の一番奥まで行って反対側の階段から降りて行く。
クララを見失わないように慌ててギュンターも着いて行った。

裏口から出たクララは広い庭園を颯爽と歩いて行く。
今日は月が綺麗な夜で、クララの金髪が月明かりに照らされてキラキラと輝いているようだ。
広い庭園を迷いなく突き進んだクララは厩舎の中へと入って行った。
ギュンターが厩舎の入り口横にもたれかかると、
クララが馬に話しかける声が聞こえた。
「夜だけど、私に付き合ってほしいの。」
クララに答えるように馬の鳴き声が聞こえる。
「最後のダンスが始まるまでに、団長に会いに行かなくちゃ。団長は最後のダンスを私と踊ってくれるかしら?お前はどう思う?」
クララの言葉にギュンターの胸の鼓動が高鳴る。
クララが自分と最後のダンスを踊りたいと言った。
未婚の女性がそれを口にするということが意味することは一つしかない。