あれ、如月さん1人で…美術室なんかに何の用事だろう…?

確か選択授業は美術じゃ、なかったはず。

いつもいるクラスメイトの顔を思い出しながら私は内心首をかしげた。

すると。

「…高梨さん、ちょっといい?」

ツカツカと私に向かって歩いてきた如月さんが、ジッと私を見つめるものだからつい緊張してしまう。

え…?私に用事…?

如月さんが??

ほとんど…いや、私の記憶の中では言葉を交わしたことがない相手だからこそ、戸惑いを隠せなくて…。

「き、如月さん…?どうかした…?」

自分が予想していた以上に、問いかけた際の声量が小さくなってしまった。

「ちょ、ちょっと…そんなにビビんないでよ。別に高梨さんを怖がらせようと思って来たわけじゃないんだからさ!」