「悠理、おまたせ」

「咲人ゴメンね。忙しいのに…」

文化祭明けの代休日。
私は、咲人を駅前のとあるカフェに呼び出していた。

「待ち合わせ、俺の学校に近い所にしてくれたし、そこまで忙しくないから気にすんな」

そう言って、フッと微笑む咲人に私はチクンと胸が痛んだ。

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『いい、悠理?咲人があんたのことを好きだって知らなかったのはね、あんたくらいよ?クラスの皆知ってたんだから…』

咲人に告白されたことを花鈴に相談した際、「ようやくか」とでも言いたげにハァ…とため息をこぼした彼女に私は目をしばたたかせた。

『…え』
 
『そっか〜…とうとう言ったのね咲人。観月くんのこともあって焦ったのかもね〜。で、悠理はどうするつもり?』

感慨深く頷きつつ、花梨はふいにそんな問いかけをしてきて私は言葉を詰まらせる。

『私としては咲人のこと応援したいけど…でも、観月くんも話聞いてたら良い人だし…それに悠理のこと助けてくれた恩人だもんね…』