「観月、久しぶり。元気そうだね」

「早瀬も…元気そうだな」

「おかげさまで」と微笑む早瀬は中学時代の頃と同じ笑顔で俺の隣に腰かけた。

今、俺たちがいるのは体育館の近くにあるベンチ。 

少し通りからは離れているため比較的静かな場所だ。

「…如月には言ってきたのか?」

「唯南に言うと心配させるからね〜。ちょっとトイレって抜け出してきた」

人懐っこい笑みを浮かべそんなことを言ってのける彼女に俺も自然と笑みがこぼれる。

変わらないな…早瀬は。

そんな彼女に内心少しだけホッとしていた。

「あっちの学校は楽しい?」

「うん。楽しいよ、こっちでは出会えなかった人と友達になれるしね。今はねサーフィンにハマってるんだ!放課後、友達と海行ったりね」

日本にいる時より少し日焼けした肌を見てなるほどと、納得する。

早瀬は楽しくやってるんだな…。

「へぇ。いいな。楽しそう」

「まぁね、観月ももしこっちに来ることがあったら私がガイドしてあげるよ」

「じゃあ、その時は頼むわ」

「任せて」

お互い他愛もない話に花を咲かせると、会わなかった時間がなかったかのような錯覚に陥った。

でも、今回ちゃんと彼女には伝えないといけないことがあるから。

「あのさ、早瀬。俺、あの時のことずっと後悔してた…。俺としてはお前のこと気遣ったつもりで…でも、如月に後から聞いて早瀬を傷つけたって知って…本当にごめん」