「高梨さん、俺…話さないといけないことがある」そう言った観月くんの瞳は真剣そのもので、私はコクリと頷いた。

どんな話でもしっかり受け止めようと決めてここまで来ていた私。
 
ドキドキと緊張しつつ、ベンチに腰かけた。

「ちょっと長くなるけど…」

そこから、観月くんはゆっくりと語りだす。

中学時代の友達、早瀬璃奈ちゃんの話。

如月さんとのイザコザ。

そして、あの入学式の事故の日のこと…。

私は彼が話している間、口を挟まず話を聞いていた。

「事故のことは…高梨さんにとってもあんまり良い思い出じゃないだろうし…わざわざ俺から話して痛かったこと思い出させてもなって…だから言うつもりなかったんだけど…」

「そう、だったんだ」

その言葉に少しホッとする。

私を助けたこと、言いたくなくて隠してたわけじゃなかったんだ。

「俺、早瀬のことがあって、自分から積極的に動くの少しだけ避けてたんだと思う…。また、自分の安易な行動で傷つけたくなくて…でも、それで結局高梨さん傷つけてたら意味ないよな」