「ごめん…!観月くん…っ。私…保健室で休んでて…遅れちゃって」

「……」

急いで来てくれたのだろう。

ハァハァと、肩で息をする高梨さんの姿に俺は目を細めた。

しかもどういう理由(わけ)か、彼女の腕の中には「ニャン」と可愛らしく鳴き声をあげ、機嫌よくしっぽを振るおもちがいる。

正直、何でじいちゃんの家にいるはずのおもちがこんなところにいるのか疑問だったが…。

なんだか、おもちが高梨さんを連れてきてくれたんじゃないかって、不思議とそう思えた。


「高梨さん、俺…話さないといけないことがあるんだ…。順番間違っちゃったけど、聞いてほしい」

まっすぐに彼女を見つめて真摯に言葉を伝える。

「うん、聞かせて?私も観月くんから聞きたい」

そう言ってくれた彼女は、ふわりと優しく微笑んだのだった。