乙女は今日も夢を見る


裏庭に向かって、私は足を進める。

時刻は16時45分。
すでに、15分は観月くんを待たせていた。

急がないと…。

そう思いつつ、小走りで校舎を抜け、裏庭に続く渡り廊下にたどり着いた時だった。

「ニャー」

聞き覚えのある鳴き声に、渡り廊下の奥の草むらへと視線を移す。

するとそこにいたのは…。

「おもち!?なんでここに」

観月くんのおじいさんの家にいるはずのおもちだ。

おじいさんの家から、結構距離あるけど…散歩でここまで!?

おもちが引き取られてからは、裏庭に行く機会も少なくなっていたからな…。

「ニャ、ニャーン!」

木陰から飛び出てきたおもちは、私の存在に気づいたのか、トテトテと駆け寄ってくる。

そんなおもちをギュッと抱きかかえる私。

長いしっぽをフリフリさせるおもちが可愛くて。

「ふふっ…久しぶりだね〜元気そうでよかった…」

「ニャン」

自然と頬が緩む。

なんだかおもちが「頑張れ」と励ましてくれてるように思えて少し勇気が湧いてきた。

思えば、観月くんと話すきっかけになったのはおもちだったね。