「あぁ…。俺からも今は話すつもりないから、如月は気にしなくていいよ」
「ふん、変なヤツ…。悠理ちゃんすっごく感謝してたし、話したほうがあんたにとっちゃいいんじゃないの?ま、どっちにしろ璃奈の時みたいに悠理ちゃんを悲しませるのは許さないからね。虎太郎の恩人だし、私の友達なんだから」
それだけ吐き捨てるように言い放った唯南ちゃんは、私と咲人には気づかず、その場を立ち去った。
彼女の姿が見えなくなってしばらく、観月くんも唯南ちゃんが去って行った方向に向かって歩みを進める。
おそらくクラスの方に戻るのだろう。
遠目だ彼の横顔は、何か思い詰めたように見えて、私はギュッと胸が痛むのを感じた――。
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「…今のって、この前の観月ってやつだよな?事故の件とか、悠理のこととか話してたっぽいけど…って、悠理、お前顔色悪いけど大丈夫か!?」
二人の姿が見えなくなって、咲人が訝しげに私に視線を向けると、ギョッとしたように叫ぶ。
「だ、大丈夫…。ちょっと色々驚いただけだから」
どうしよう…。さっきの会話、聞かなければよかった。
観月くんだったんだ…、あの日私を助けてくれた男の子…。
まさかこんなに近くにいるなんて、思いもしなかった。
『俺から話すつもりないから』ってどうして?何で隠す必要があるの…?
それに"璃奈"って子のことも…。



