咲人が私との距離を少し詰める。
そんな彼に対して、私は思わず後ずさった。

「悠理、ようやく俺のこと意識したんだ？今までだったらこのくらい近づいても、平気だったろ？」

意地の悪い笑みを浮かべ、私を煽ってくる咲人に言葉を失う。

「ちょ、ちょっと待って！とりあえず整理させて…」

キャパオーバーになりかけていた私は、慌てて彼にストップをかけたのだが…。

「好きだよ」

「…ッ」

と、あまりにも自然に言い放ったその言葉に私は大きく目を見開いた。

「…いつから？」

「いつからだろうな…あんまり正確には覚えてないけど、気づいたら自然とって感じかな？」

クスッと、優しげに微笑む咲人に不覚にもドキンと胸が高鳴る。

本当に単純思考なんだな、私って。

好きだと言われた瞬間から、急に咲人が違う人みたいで、恥ずかしくなり思わず顔を伏せた。

「あのさ…。一応、聞くけど…悠理って好きな人いるの？」

好きな…人？