「…っ。結構、暗いね」

「うん…てかBGMがめちゃくちゃ怖いんだけど…」

おどろおどろしいBGMが響く室内をキョロキョロと辺りを見回しながらやって来る二人組の女の子たち。

私はそんな彼女たちが通り過ぎた後、隠れていた場所から出て来てピッタリ後ろに張り付いた。

そして、そのままソッと片方の女の子の肩に手を置く。

ビクッ。

私が肩に手を置いた方の女の子が身を強張らせた時。

「待って…私も連れてって…」

か細い声で用意されたセリフで声をかける。

すると、次の瞬間。

「「…ッ!キャー…」」

驚いた女の子達の甲高い悲鳴が響き渡り、後ろも振り返ることなく、一目散に出口へ向かって走り去って行った。


****

「それじゃ、30分後に午後グループと交代で…!」

「いやー大成功じゃね?皆、めっちゃ怖がってたし」

「うんうん!」

室内の電気がつき、午後グループとの入れ代わりの休憩時間。

ザワザワと興奮冷めやらないのは午前グループのお化け役の皆だ。

確かにひっきりなしで、お客さんが入っていたみたいだし、かなり順調な滑り出しだったから盛り上がるのも無理はない。