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「それにしても本当によかった〜。おもちが素直にカゴに入ってくれて。野良猫だから警戒しちゃうかなって心配してたんだけど…おやつ作戦大成功だね…!」

「だな。やっぱりじいちゃんの家のおやつ良いの揃ってんだな〜。てか、おもちも食い意地はりすぎ」

そう言って、カゴを持ちながらクスクスと可笑しそうに笑う観月くんにつられて、私もクスッと微笑んだ。

今日は以前に約束していたおもちを観月くんのおじいちゃんの家に届ける日。

猫用のカゴもしっかり拝借し、万全の状態でやってきた観月くんと学校の裏庭で集合したのは数十分前。

午前中ということもあり、昼間と比べれば涼しい裏庭のベンチでゴロゴロしているおもちを発見した時、私と観月くんは目配せをし合う。

一応、この日に備えて作戦は練ってきていた。

2人でカゴを持ってやってくれば、いくらおもちでも警戒するのでは?ということで、まずは私が普段通り近づき、慣れてきた頃に観月くんが登場するというシンプルな作戦。