「ねぇねぇ、今日は帰りどこか寄ってく?」

「あ!駅前に新しくドーナツ専門店できたって知ってた??そこ行かない?」

「いいね〜!行こ行こ!」

キャッキャッと、はしゃぐクラスメイトの女子2人組の楽しげな会話を横目に私は1人、自分の席で帰りの準備をする。

…駅前のドーナツ屋さんか、いいなぁ…。

二人の会話に思わず聞き耳を立ててしまう私。

そして、行く場所が決まったらしい彼女達が、荷物を持って立ち上がった際。

「あ、えーっと…高梨さん?教室最後だから戸締まりよろしくね」

と、遠慮がちに私に声をかけてきた。

ドキッ。

「う、うん…大丈夫。閉めとくから…」

「あ、じゃあ…よろしくね」

それだけ言い残し、帰っていく彼女達を見送った後、一気にシンと静まり返る教室内。