覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

「課長、もしや、廃墟マニアとか?」

 ……いや、お前、廃墟って失礼だろ。

 確かに店は潰れているが、住居部分に人がいるぞ。

 そんなことを思いながら、灯りが灯っている二階を見上げたとき、その小さな看板が目に入った。

 赤い看板に白い『たばこ』という文字。

 微妙に錆びているのも風情があっていい。

「俺はこれを見に来たんだ」

 あ~、と衣茉は声を上げる。

「なるほどっ。
 風情があって、いいですねっ」
と言う衣茉の笑顔を見ていると、ほんとうにすごくいい物のような気がしてきて。

 つい写真まで撮ってしまった。