覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

 


 余計なことを言ってしまったな、と今日は満員だったので、並んでバスに揺られながら、八尋は思っていた。

 長く一緒にいると、悪いところも見つかるんじゃないかなんて。

 こいつのことだから、あっさり、
「じゃあ、あんまり長く一緒にいない方がいいですね」
とか言い出しそうだ、と思った瞬間、衣茉が言った。

「じゃあ、あんまり長く一緒にいない方がいいですね」

 ……どうした、俺。
 超能力者にでもなったのだろうか。

 慌てて、
「だが、結婚するのなら、長時間一緒にいるわけだから、その練習を……」
と言いかけたが、言い終わらないうちに、

「あ、でも、どちらかが支社を希望して、単身赴任という手もありますよね」
と言われてしまう。

 八尋は沈黙した