「見たわよ~」
お手洗いにあるパウダールームで、あぶらとり紙をぺたぺた顔に貼り付け、
おお、結構とれたっ、と衣茉が喜んでいたとき、後ろからそんな声がした。
振り返ると、秘書の湯村明子が立っていた。
「衣茉ちゃん、月島課長とふたりきりで階段のぼってたわね」
はあ、誰も来なかったので、ふたりきりでしたね……。
「課長と付き合ってるの?」
「……いや~、どうなんでしょう。
お付き合いしたいなと思っているんですが」
「そうなの?
いつ、課長のこと、好きになったの?
衣茉ちゃん、全然、興味なさそうだったのに」



