「この階段は……
数えるたび、段数が変わる」
なんだろう、この突然のホラー……。
昼間の会社なんですが、
と思いながら、衣茉は八尋に言う。
「あの、課長。
一番上を数えたり数えなかったりして、数が変わってるんじゃないですか?
途中、踊り場もありますしね」
昔、学園物で、そんな話書きました、と衣茉が言うと、八尋は横目にこちらを見ながら、
「……お前、普段、なに書いてんだ」
とちょっと不思議そうに問うてくる。
「いやー、デビュー当時は真面目な話を書いていたのですが。
編集さんに求められるまま、いろんなジャンルをさまよってきたんですけど。
恋愛ものは厳しいですね~」
そこで、八尋は何故かピタリと足を止める。



