覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

 そのまま衣茉がついて階段を上がってくるので、また会話に困り、

「この階段は……」
と言いかける。

 この階段はなんなんだ、と自分で思いながら。

 この階段はっ? と今にもメモをとりそうな雰囲気で衣茉が身を乗り出してくる。

 いや、単に会話に困って俯いたら、視界に階段が入ったので、思わず口から出ただけだったんだが。

 つづきに困ったせいで、ペースが遅くなり、衣茉が真横に並んできた。

 そんな衣茉の顔を見下ろし、八尋は言った。