覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

「用事がないって言って帰るのが、まず間違いだよ。
 呑み屋に忘れ物をとりに行く用事があるとか言って、二人で呑みに行けばいいじゃん」

「呑み屋に忘れ物などあるわけないだろう」

「なくてもあるって言うんだよ」

「ないものはない」

「なんという融通の効かない……。
 お前、絶対、すぐフラれるぞ」

「フラれるもなにも、付き合ってもない」
とうっかり言って、

「付き合ってないの?
 付き合ってないのに、つきまとってんの?

 ストーカー!?」
と言われてしまう。

 いや、ストーカーはあいつのホラー小説の主人公だ、と思ったあとで、八尋は悩む。

 ……付き合って、いるのだろうかな。

 結婚しようと言ってから、三日。

 結婚しませんとは言われてはいないが、付き合っているのかと問われたら、違う気もする。