覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

「そういえば、お前、あんな時間までなにしてんだ?」

 先に帰ったはずだが……と思いながら八尋は訊いた。

「課長を待ってたんです。
 もしかして、今日、なにか用事があるなら付き合おうかなと思って。

 ……なんて。
 実は、そんなこと考えながら、みんなとブックカフェにいたら、こんな時間になってただけなんですけど」

 それで一応、会社に戻って覗いてみたら、課長がいたんです、と照れ笑いしながら、衣茉は言う。

 ……なんだろう。

 ついででも、ちょっと嬉しい。

 うむ。
 仕事中は気づかなかったが。

 こんな簡単に男心を惑わすとは、こいつ、実は小悪魔的な女だったのだろうか。

 嫁に選んだのは失敗か?
と明子や吉行が、いやいや、と手を振りそうなことを思う。