覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)



 帰りのお見送りのとき、可愛い銀のスプーンをくれた柚に、

「おめでとうございます」
と衣茉が微笑むと、

「私、実は織原先生のファンなんです」
とふわふわしたピンクのドレスを着た柚が言う。

 真澄を抱いて後ろにいた秋馬が、
「それは奇特な」
と言った。

 おい、編集……。

「純文学にエンターテインメント小説にと多才でらっしゃるし」

「いやいや、とんでもない。
 幅広いジャンルで書けるだけで、たいしたあれじゃないですよ」

 おい、編集。

 だが、秋馬はもう身内のようなものなので、謙遜していっているのかもしれない。

 いや、そう思いたい……。