覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

「これが女性と付き合うということか、と驚くばかりだ」
と人に言ったら、

「……たぶん、違うと思いますよ」
と言われそうなことを言う。

 だが、衣茉との会話がどんなものなのか知らない吉行は笑い、

「いいな!
 俺もピュアな気持ちになって一から恋をはじめたいよ」
と言い出した。

 ……一からって、今の人はどうするんだ?
と思ったが、もう別れたと言う。

「そういえば、ちょっと気になってる子がいるんだ」
と吉行は声を落として言い出した。

「この間、呑み会で一緒になった子なんだけど。

 俺が話すたびにスマホをいじるんで。
 可愛い子だけど、俺に興味ないんだなと思ってたんだよな。

『もしかして、彼氏が連絡してきてるの?
 君が呑み会に来てるから、不安なのかな?』

 って言ったら、彼女は、いえいえ、って照れて、

『ちょっとメモしていただけなんです』
 って。

 なんのメモかはわかんないけど。
 呑み会で、なんのメモとってんだろ。
 酔ってるときなんて、みんな内容のある話なんてしないのにって気になってさー。

 恋じゃないけど、いろんな意味で興味を引かれるんだよ。

 面白いー」

 でも、誰だか内緒ね、と言って、吉行は行ってしまった。