「そんなことより、見ろよ」
と秋馬が手招きをする。

「ここの店長と懇意にしてるから、お前の新刊、特設ブース作ってもらったぜ」

 華やかなその一角を見て、衣茉が声を上げる。

「わー、すごいですね。
 嬉しいですっ」

 店長らしきおじさんがニコニコとやって来て、衣茉に言う。

「織原先生でいらっしゃいますか?
 今、秋馬さんとも話してたんですが。

 ぜひ、今度うちでサイン会を――」

 それを聞いた八尋が青ざめた。