覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

 よしっ、と思ったとき、真後ろを通る子連れのママさんたちの話し声が聞こえてきた。

「それでさ、うちの子、ドブに片足突っ込んじゃってさ~」

「あー、あるあるあるある!
 危ないよね~っ」

「危ない危ない」

「あ、見て。
 ここ、白菜安いよっ」
という会話を聞きながら、八尋も、

 ……あ、危ない危ない、と思っていた。

 思い立ったが吉日とばかりに。

 こんな生活感あふれる場所をプロポーズした思い出の地にするところだった。

 いやまあ、それもいいけどな。

 スーパーに立ち寄るたび、俺のプロポーズを思い出してくれれば。

 ……って、受け入れてくれること前提で考えてしまっているんだが、ほんとうのところ、大丈夫なのだろうか。