覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

 


 最近、俺は心が狭くなった。

 そんなことを考えながら、八尋は衣茉と、衣茉のマンション近くのスーパーに来ていた。

 このスーパーのカフェコーナーがなかなかいいと言うので、ついて来たのだ。

 カウンターしかない狭いスペースだが、吊るしてある洒落たカップから好きなものを選べたりしてなかなかいい。

「たまにお買い物の帰りに寄るんですけど。
 いい雰囲気なんで、誰か連れてきたかったんです」
と衣茉は微笑む。

 目が違う世界を見つめていた、原稿に追い詰められていた衣茉も、自分しか見られない衣茉だなあと思って、悪くはなかったが。

 今、こうして、ニコニコしている衣茉は、今まで見た誰よりも可愛く感じる。