覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

「相合傘か、懐かしいな」
と言う秋馬に、

「学生っぽいですよね。
 私はそういう思い出ありませんけど」
と言うと、秋馬が、

 ――!?
という顔をする。

「俺、お前に後ろからそっと差しかけたこと、あるよなっ!?」

「ありましたっけ?」

 衣茉は小首をひねって、記憶を絞り出す。

 ああ、と手を打った。

「そうでしたね。
 ありがとうございます、と言い終わらないうちに、みんなが、私もっ、私も入れてくださいって、押しかけてきて。

 みんなで、ギュウギュウに秋馬先輩の傘に入って、全員でびしょ濡れになったあれですね。

 学生って莫迦なことしますよね」
と笑ったが、今となっては、そんな学生時代の記憶は切なく懐かしい。