二人は話しながらバスを降りる。
「よく考えたら、頭を打つ、じゃなくていいんですよね。
そこが話のメインではないので。
ジャンルもミステリーじゃないし。
話のきっかけに過ぎないですし。
課長、どうやったら、さりげなくリアルに殺せると思います?」
「……さりげなくリアルに誰かを殺したことがないのでわからない」
と言ったあとで、八尋が訊いてくる。
「祝。
昨日から思ってたんだが、お前は一体、何者なんだ?」
昨日、会話に困っていた八尋は、この話をするべきだった。
だが、結婚しないかと言ったとき、らしくもなく、なんとなくテンパっていたので、八尋は衣茉の正体を深く追求せず、
社会人になってもホラーな読書感想文を書いて、大人部門で応募しようとしている女、
として、処理していた。
一方、そう問われた衣茉は衝撃を受けていた。



