覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

「バナナは……

 バナナは美味しいんですかね?」

「しっかりしろ。
 お前の口癖は、バナナはオヤツに入るんですか、だろ」

「『ほぼほぼ』って打ったつもりだったんですが、濁点を打つ力がなかったんですかね。

 『ほほほほ』になって、この人高笑いしています。

 『時機を逸した』が、『常軌を逸した』になってるし……」

「しっかりしろ。
 今、常軌を逸してるのはお前だ。

 終わったら、美味しいものでも食べに行こう」

 八尋は今日、何度目かのその言葉でねぎらってくれた。

 不器用な八尋は、他に衣茉が喜びそうなことを知らないらしい。

 だが、衣茉は言った。