夜道を帰っていた八尋は、ふと振り返り、衣茉のマンションを見上げた。 衣茉がこちらを見下ろし、手を振っている気がする――。 そこで気づいた。 ……そういえば、観葉植物は何処にあった? 見に行きたいと言ったはずの観葉植物の記憶もなく。 衣茉が何処でどうやって掃除していたのかさえ、記憶にない。 二人とも真面目すぎるので、初めて衣茉の部屋を訪れたというのに、ただ必死に作業して別れていた。 八尋は少し考えたあとで、引き返す。