覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

 



 次の日の朝、衣茉は悩んでいた。

 たまたま、なにかの流れで、自分の本のレビューを見ると、
「他はよかったんですけど。
 冒頭のところ、ちょっと疑問に思いました。
 そんなので死にますか?」
と書かれていたからだ。

 昔書いた短編集のレビューだ。

 レビュー自体もずいぶん前に投稿されたもののようだったが。

 見てしまったせいで、ちょっと気になりはじめていた。

 うーむ。
 まあ、確かに……。

 その話は、別にミステリーやサスペンスではなく。

 冒頭でそのキャラが死んでいればいいだけの話だったので、頭を打っただけで死なせてしまったが。

 実際には、そんなことはないだろう。

 ゴン、で死ぬのなら、人類みな死んでいる。

 そんなことを悩みながら、通勤バスに揺られていた交際二日目(?)の衣茉に、
「おはよう」
と八尋が声をかけてきた。