覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

 


 目を覚ました衣茉が電話をとると、
「すまん。
 遅くなった」
と八尋が言う。

「もう少しで出られるから、また電話する」

 廊下か何処かから、かけているらしい八尋は早口にそう言って切った。

 ……夢だったのか。

 慣れない掃除で疲れすぎ、ちょっと横に、と寝てしまったらしい。

 まだ散乱している部屋を見ながら、

 さっき途中まで片付けたのに。

 なんか二回掃除するみたいだな、
と衣茉は思う。

 大丈夫か?

 片付け終わった途端、電話が鳴って。

 またこれも夢だとか言わないよね?

 そう疑った衣茉は、自分で自分の足を踏んでみる。

 ちゃんと痛かった……。