衣茉は仕方なく八尋を通すことにした。 ひどい惨状のリビングの前、またいつの間にか蜘蛛の巣が張っている玄関先で三つ指ついて、衣茉は詫びた。 「私はこんな、掃除ひとつも満足にできないような人間なんです。 離婚してください」 そう言っている間にも、つーっと上から大きな蜘蛛が衣茉の顔の前に下りてくる。 「いや、まだ結婚もしてないだろ……」 と八尋に言われたとき、電話の音が何処からかした。