夕方、衣茉は廊下で明子に出会った。 「あら、もう帰るの? 衣茉ちゃん」 「はい。 今日は課長が我が家の掃除を手伝ってくださるというので、その前に家を片付けようかと」 「……ものすごい本末転倒だけど、なんかわかるわ」 手伝おうか、と言われたが、丁重にお断りした。 それだと、更に早く。 明子が来るよりも前に、掃除をしなければならないと思うからだ。 「まあ、頑張って」 ひらひらっと手を振って、明子は笑う。