覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

 よく考えたら、ただ一緒にいたいだけなら。

 お茶でも飲みに行きませんか、とか。

 夕食でも、ご一緒にいかがですか、とか言えばよかったのだが。

 八尋がデートに誘う勇気がなく。
 なにか用事はないかと言ってきたせいで、衣茉は必死に用事を考えていた。

 でも、用事か……

 なにかあったような。

「あっ、そうだっ。
 確か、急ぎの用事がありましたよっ」

「そうかっ、あるのかっ。
 なんだっ?」
と八尋が勢い込んで訊いてくる。

 衣茉はあんまり役に立たなさそうな小さすぎるスケジュール帳をカバンから取り出し、広げた。

「あったっ。
 これですっ」