覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

「実はこの間から立て続けに図書館のカードと間違えて、クレジットカードで本を借りようとしてしまって……。

 なんか恥ずかしいので、しばらく行きたくないんです」

「な、なんだ、そんなことか。

 大丈夫だ。
 よくあることだ!」

「そ、そうですかねっ」
と衣茉の表情が明るくなる。

「ああ、俺……

 はないが。

 ……俺の友だち……

 もないが。

 ……俺の親……

 もないが。

 誰かあるさ。
 よくあることだ」
と力強く八尋は言う。

 いや、よくあることではない気がしたが。

 衣茉のためなら、そう言い切れるっ!
と八尋は思っていた。