「いや、なんだそれ。
なにやってんだ、八尋さん。
そこは抱き寄せてキスするところだろ。
まあ、俺もできなかったから、人のこと言えた義理じゃないが」
と秋馬が言う。
沢木から雑誌に載せることになった話を聞いたらしく。
夜、衣茉にお祝いの電話をかけてきてくれたのだ。
「へー。
先輩でもそんなことあるんですね」
「あっただろ。
ほら、部室でお前と夜、二人きりになったとき」
「そんなこともありましたっけね」
……で? と衣茉は話のつづきを要求した。
たぶん、自分と二人きりでいたあと、誰かが入ってきたんだろう。
その人との話に違いない、と思ったのだ。



